レーザーマーカー用の集塵機について解説します。
レーザーマーカーの作業工程では、製品の安定性に影響を与えるヒュームや、作業環境に影響を与える独特の異臭などが発生します。これらを除去し、あるべき現場の姿を創出・維持するためには、レーザーマーカー用集塵機の導入が重要なポイント。製品選びで重視したい基準もあわせて解説します。
レーザー工程における集塵機の必要性は高いと言えます。
対象物にレーザーを照射して加工を施す際、加熱・溶解・蒸発などにより、対象物から「ヒューム」と呼ばれる煙のような粉塵が発生します。
このヒュームは、ワークに付着して製品へ弊害をもたらす可能性があること、レンズに付着して焦点ずれ・印字ずれを発生させる可能性があること、レーザー加工機の故障の原因になる可能性があることなどを理由に、取り除くべき対象とされています。
また、ヒュームには独特の臭気があることから、作業環境を悪化させる原因にもなります。
以上の理由により、レーザー工程における集塵機の必要性は高いと考えるべきでしょう。
レーザー加工の際に発生するヒュームを除去するため、レーザーマーカー用集塵機は、ぜひ導入を検討すべき装置と言えます。以下、レーザーマーカー用集塵機の導入により期待できる効果を見ていきましょう。
レーザーマーカー用集塵機を導入することで、ラインの稼働中、以下のような効果が期待できます。
もとより、レーザーマーカー用集塵機を導入することにより、臭気等を抑えられることから、加工を行うオペレーターの快適・安全な労働作業環境の創出・維持にもつながります。レーザーマーカーを取り扱う現場は、前向きに集塵機の導入を検討したほうが良いでしょう。
レーザーマーカー用集塵機を選ぶ際のポイント・基準を2つほど見てみましょう。
集塵機である以上、高い集塵機能を持つかどうかは第一にチェックすべきポイントです。ただし、集塵機能だけに注目するあまり、集塵機のもう一つの大事な役割である脱臭機能を忘れてはいけません。
レーザー加工の工程では、独特の異臭が発生します。良好な作業環境を維持するためには、この異臭を除去し続ける機能が必要不可欠。レーザー集塵機を選ぶときには、集塵と脱臭の機能性をしっかりとチェックしましょう。
安定した生産性を長く維持し続けるためには、可能な限り高性能な機器を選ぶべきでしょう。
たとえば、レーザーマーカーとの連動運転が可能なタイプ。レーザーマーカーと集塵機を別々で操作する必要がなくなる分、作業者の負担もミスも減ることが期待されます。省エネ設計かどうか、インバータが標準搭載されているか、運転音が静かどうかも、ぜひチェックしておきたいポイントです。
レーザー加工で発生するヒュームは材質や工程によって性質が異なります。たとえば、金属加工などで発生する「さらさらヒューム」は微細で浮遊しやすいため、HEPAフィルターやULPAフィルターのような高性能フィルターが適しています。一方、樹脂や有機物由来の「ねばねばヒューム」には、活性炭フィルターやゼオライトフィルターが推奨され、臭気成分の吸着除去に効果を発揮します。
また、レーザー加工ではスパッタや火花が流入するリスクもあり、その場合は防火フィルター、金属フィルター、スパッタセパレーターの組み合わせによる火災リスク低減が有効です。さらに、導入に際してはNRTL・CE・RoHSといった国際的な安全・環境規格への適合も確認すべきです。
| チェック項目 | 選定目安 |
|---|---|
| 適応ヒュームタイプ | さらさらヒューム:HEPA/ULPA ねばねばヒューム:活性炭/ゼオライト |
| スパッタ・火花対策 | 防火フィルター/金属フィルター/スパッタセパレーターを搭載 |
| 使用環境 | 屋内限定 or 屋外設置対応/高温多湿環境での耐久性を確認 |
| 安全・環境認証 | NRTL、CE、RoHSなどの国際規格への適合 |

チコーエアーテックのレーザーマーキング用小型集塵機は、粘着性の高いヒュームを効率的に吸引できるように設計されています。特許取得済みの1次フィルタ、簡単着脱フランジ、電気部品保護用2次フィルタ、臭い吸着用活性炭カセット、HEPA排気フィルタなどを備えています。操作パネルにはAT3パネルを採用し、遠隔操作や通信オプションも可能です。これにより、フィルタの目詰まりを防ぎ、長時間の安定した吸引力を提供します。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 出力 | 440W |
| 電圧 | 100V単相(50/60Hz) |
| 定格電流 | 6.5A |
| 最大風量 | 1.3㎥/min(ゼオライト付着時) |
| 最大静圧 | 9.5kPa |
| 騒音値 | 49 - 63dB |
| 吸込口サイズ | φ75(別売φ65・φ50・φ38) |
| オプション対応 | 200V単相(-T)、220-230V単相 |
| 質量 | 28.5kg |
| 本体寸法(D×W×H) | 424mm × 336mm × 490mm |
| 電源コード | 3m |

レーザーマーカー専用集塵機VF-5HGは、自動風量制御によりフィルターの長寿命化と目詰まり防止を実現しています。粘着性の高いヒュームにも対応し、安定した集塵性能を発揮します。工具不要でフィルターと脱臭剤の交換ができ、メンテナンスが簡単です。エレクトレットフィルターを採用し、高い捕集性能を持ち、遠隔操作機能で24時間連続運転が可能です。
| 型式 | VF-5HG |
|---|---|
| 電源 | 3相200V(50/60Hz共用) |
| 出力(kW) | 1.1 |
| ブロワーモーター | ブラシレスブロワーモーター |
| 最大風量(m3/min) | 3.0±0.3 |
| 最大静圧(kPa) | 20±3.0 |
| 騒音(dB[A]) | 70±2以下 |
| 脱臭剤 | 活性炭(20L[8.4kg]) |
| 推奨ブレーカ(A) | 10 |
| 電源コード(m) | 2.8(プラグなし) |
| 吸込口径(mm) | 別売(Φ38,Φ50,Φ65mmを用意) |
| 大きさW×D×H(mm) | 440×488×798 |
| 質量(kg) | 78 |
| オプション | HEPAフィルター(0.3μm粒子を99.97%以上捕集) |
| 使用環境温度(℃) | 5~40 |
| 吸引温度(℃) | 0~40 |
| 外板材質 | 鉄製:塗装仕上げ(日塗工F35-85A) |
| ステンレス製:ヘアライン仕上げ | |
| 運転制御 | 自動風量一定制御(調節範囲0.4~2.2m3/min) |
| 表示 | フィルター差圧(目詰まり)、風量低下、風量、電源、外部(連動)モード |
| その他 | 遠隔操作機能、24時間連続運転可能 |

Domino DPX3500は、レーザーマーキングの印字品質を高く維持するための高性能集塵機です。大容量フィルターを搭載し、過酷な環境でも長期間稼働が可能です。三段階の濾過プロセスを採用し、微粒子や臭気を効果的に除去します。タッチ操作対応ディスプレイやフィルター、マシン温度の常時モニタリング機能により、使いやすさと信頼性を向上させています。Domino製レーザーマーカーとの連動機能も備えています。

OSK-DS-Bは、風量型で最大風量5.5㎥/分、最大静圧1.85kPaを誇り、10μm以上の粒子径に対して99%以上の捕集効率を実現します。この高い集塵能力により、作業環境を清潔に保つことができます。また、一般環境用であるため、電子部品や精密機器の製造現場、医療現場など、広範な用途に対応しています。
さらに、この集塵機はコンパクトな設計で、設置スペースが限られている場所でも利用可能です。操作も簡単で、ユーザーにとって扱いやすい設計が施されています。OSK-DS-Bは高品質な素材で作られており、耐久性にも優れ、長期間安定した性能を提供します。
| 型式 | OSK-250-DS-B |
|---|---|
| 最大風量 | 5.5m3/min |
| 最大静圧 | 1.85kPa |
| 捕集効率 | 99%以上(10μm以上の粒子径) |
| 定格電圧(50/60Hz) | 単相AC100V |
| 定格電流 | 6.5A |
| 使用周囲温度 | 0~+40℃ |
| 使用周囲湿度 | 80%RH以下(結露無き事) |
| 騒音(A特性) | 67dB |
| 最高吸気温度 | +40℃ |
| 適合 | 環境対応 RoHS2 |
| 本体質量 | 約22.3kg |
レーザーマーカー用集塵機が必要な理由、および、レーザーマーカー用集塵機の選び方についてご紹介しました。
安定した生産性維持のため、また、良好な作業環境創出のため、製品や現場に適したレーザーマーカー用集塵機の導入を検討しましょう。
導入にあたっては、初期性能だけでなくフィルター交換頻度や臭気カートリッジの持続時間といった長期的な運用コストにも注意が必要です。頻繁な交換が必要な機種では、ランニングコストやメンテナンス負荷が増加するため、現場の稼働計画に合わせて選定しましょう。
また、排気清浄度(排気中粒子濃度の基準)にどのレベルで対応しているかも重要な確認項目です。これは作業員の健康保護に直結し、粉じん障害防止規則など関連法令の遵守にも関わります。法令対応や安全衛生面からも、適切な集塵機を導入することが求められます。
集塵機には様々な特性をもった製品があります。実際に集塵機を導入する際には、用途や環境に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、排出する粉塵や設置スペースに適した製造現場に合わせたおすすめの集塵機を3つご紹介します。
レーザーマーカーのヒュームを除去
電子機械製造業へ導入
引用元:チコーエアーテック
https://biz.chiko-airtec.jp/lineup/
連続稼働で塗装面の異物吸着を防ぐ
自動車産業へ導入
引用元:新東工機製作所
https://kshinto.co.jp/product/dust/
反応工程で発生する有害ガスを除去
洗剤・洗浄剤製造業へ導入
引用元:集塵装置株式会社
https://www.ducoll.co.jp/product/factory/