ここでは、爆発性粉体(アルミなど)を取り扱う現場に向けて、粉塵爆発を防ぐための適切な集塵機の選び方をご紹介しています。
アルミニウムやマグネシウムの粉体は、粉塵爆発のリスクが非常に高い危険な対象物です。爆発・引火のリスクの基準「危険等級」では、最高等級の「St3」に指定されています。
もちろん、これら対象物を取り扱う現場では適切と考えられる集塵機を導入済みと思われますが、工場従業員の安全のため、また工場設備の損傷防止のため、改めて導入済みの集塵機のスペック等を確認してみましょう。
爆発性粉体を扱う環境では、電気機器や機械設備の内部で火花や高温が発生しても、周囲の可燃性粉塵に引火・爆発を引き起こさない構造が求められます。これを「防爆構造」と呼びます。
平成16年1月、北九州市内の工場で大規模な爆発が発生しました。爆発に伴い火災も発生しました。
この爆発と火災の原因について、当初は不明点が多かったものの、詳細な調査により、工場内に体積した大量の粉塵が原因となり爆発が発生したことが判明しました。日本の消防史において特筆すべき大規模粉塵爆発の事例として、消防防災博物館でも情報が公開されています。
2024年3月には中央発條 藤岡工場(愛知県)で、集塵ダクト内に蓄積していたアルミ粉が爆発し、作業員4人が重軽傷を負う事故が発生しました。(※)
※参照元:日刊自動車新聞 (https://www.netdenjd.com/articles/-/315143)
この爆発事故は、アルミ粉を含む爆発性粉体の危険性を改めて浮き彫りにしました。事故当日、集塵機内の差圧計が異常値を示し、規定に基づいてフィルター洗浄装置の点検作業が行われていた最中に粉塵爆発が発生しています。 中央発條はこの事故について「人的ミスではない」と説明しており、事故後には全129台の集塵機を点検・清掃したほか、差圧異常時には集塵機を停止し、清掃ではなくフィルター交換を徹底する方針を公表しています。
このような事例からも、爆発性粉体を扱う製造現場では、集塵機の設計段階から安全性を確保し、異常検知後の対応ルールを明確に運用することの重要性が改めて示されたと言えるでしょう。
国内外の粉塵爆発の代表例に共通する要因として、①点検・清掃の漏れ(ダクト内堆積)、②発火源(静電気・摩擦・異物衝突)への対策不足、③防爆構造・電装の不備、④異常検知後の停止・隔離手順の未徹底、などが挙げられます。なお、集塵機=防爆装置ではありません。集塵機の導入だけでは安全は担保されず、防爆設計・保全・運用ルールの三位一体でリスク低減を図る必要があります。
この事例以外にも、規模の大小に関わらず国内外で多くの粉塵爆発が見られます。現場で働く人の安全を守るため、また、投資した大事な設備を守るため、対象となる工場等では爆発性粉体の対策が極めて重要なテーマとして認識されています。
爆発や引火の視点から、粉体の性質・性状について理解してみましょう。
まず、粉体に関わらず、モノは次の3つの条件が整ったときに燃える可能性があります。
粉体の多くは「可燃性のある物質」ですので、一定程度の酸素と熱が加われば燃えることもありますが、粉体の性質・性状により燃えるリスクは異なります。引火リスクの視点から見ると、粉体は大きく次の3つに分類されます。
多くの粉体は、酸素濃度12~13%程度では引火しないため、必ずしも粉体が際立って燃えやすい物質というわけではありません。ただし、粉体の中でも「爆発性」のものは要注意です。わずかな酸素量でも爆発を伴って燃えるおそれがあるからです。
ちなみに、爆発性に属する代表的な粉体が、アルミニウムやマグネシウムなどです。爆発・引火のリスク基準として「危険等級」がありますが、アルミニウムやマグネシウムは、最高等級となる「St3」に指定されています。
| Stクラス | Kst(爆発圧力上昇速度の指数) | Pmax目安(最大爆発圧力) | 特徴・例 |
|---|---|---|---|
| St1 | 0~200 bar・m/s | おおむね 6~10 bar | 低爆発性:木粉、砂糖、小麦粉など |
| St2 | 200~300 bar・m/s | おおむね 6~10 bar | 中爆発性:石炭粉、プラスチック粉など |
| St3 | 300 bar・m/s 以上 | おおむね 6~10 bar | 高爆発性:アルミニウム粉、マグネシウム粉など |
導電性粉体(金属粉など)は静電気火花が発生しやすいため、アース・等電位ボンディング、導電性ダクト・フレキ、スパーク対策ファン等が必須です。非導電性粉体(樹脂・木粉など)は帯電しやすく、帯電防止材・加湿管理・帯電防止フィルター等の対策を併用します。
アルミニウム・マグネシウムを加工する現場では、粉体(粉塵)の適切な除去が必須の課題です。
爆発性粉体用の集塵機を選ぶときのポイントを3つほど見てみましょう。
縫製加工されたフィルター、および、手動による払い落しが可能な仕様かどうかという点をチェックしてみましょう。
集塵機内部での火花発生を防止するため、アルミニウム製ファンケージングや粉塵防爆モーターなどが搭載されているかどうかを確認しましょう。
集塵機の安定的な稼働を維持するため、フィルター交換時期や運転データを自動的に知らせる機能があるかどうかを確認しましょう。
爆発性粉体が招いた大規模粉塵爆発の事例、爆発・引火の視点から見た粉体の性質・性状、爆発性粉体用の集塵機の選び方などについてご紹介しました。
多くの粉体は、爆発・引火しやすいわけではありません。ただし、中には酸素濃度が数%と低い場合でも大規模な爆発を誘発する恐れがある粉体があることも確かです。特に、アルミニウムやマグネシウムを取り扱っている現場では粉塵爆発の可能性が高まるため、必ず適切な集塵機を導入するようにしましょう。
集塵機を新規設置したり新調したりするには、相応のコストが掛かります。少しでも低コストで集塵機を導入できることが理想かもしれませんが、従業員の安全や既存設備の損傷防止を考慮すれば、コスト面よりも、まずは機能・性能面を重視することが大事です。メーカーの担当者と十分な打ち合わせを行い、自社に適切な集塵機をセレクトしましょう。
定量的観点の一例:たとえば1日の操業停止損失が500万円で7日停止すれば3,500万円、これに設備修繕や労災関連費用が加わると、適切な防爆仕様の初期投資を大きく上回り得ます。
排出する粉塵、設置スペースに適した
【製造現場別】おすすめ集塵機3選
集塵機には様々な特性をもった製品があります。実際に集塵機を導入する際には、用途や環境に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、排出する粉塵や設置スペースに適した製造現場に合わせたおすすめの集塵機を3つご紹介します。
微粒子や粉塵を徹底的に
管理する
クリーンルームへ導入
引用元:チコーエアーテック
https://biz.chiko-airtec.jp/lineup/
連続稼働で塗装面の異物吸着を防ぐ
自動車産業へ導入
引用元:新東工機製作所
https://kshinto.co.jp/product/dust/
反応工程で発生する有害ガスを除去
洗剤・洗浄剤製造業へ導入
引用元:集塵装置株式会社
https://www.ducoll.co.jp/product/factory/