家庭用掃除機でも採用されている、遠心力を利用するのがサイクロンとも呼ばれる遠心式集塵機。その集塵機としての仕組みや特徴、導入することによるメリットやデメリット、集塵効果が期待できる製造現場などについて紹介します。
サイクロン掃除機でスケルトンボディになっている製品をイメージしてもらえば、遠心式集塵機の基本構造も同じなので、集塵する仕組みを理解しやすくなると思います。
遠心式集塵機の容器は下側が細くすぼまった円筒形。その内部で含塵ガスを旋回させると、粒子は遠心力によって内壁に寄せられ細い下部から排出、残ったガスは上昇気流となって上部から排出されます。
設計上のキーファクターとしては、入口風速・容器径・旋回数が重要です。入口風速が速すぎると圧力損失が増加し、逆に遅すぎると分離効率が低下します。また、容器径が大きいと捕集できる粒子径も大きくなり、旋回数が多いほど粒子の分離精度が高まります。
サイクロンは単体で使われる場合と、複数を組み合わせたマルチサイクロンがあります。大量の含塵ガス処理や微細粒子除去を求める場合にはマルチサイクロンを、比較的少量で粒子径の大きい粉体処理には単体サイクロンを選定するのが一般的です。
用途としては、粉体回収を目的としたケースや有害物質除去の前処理としての利用などがあり、現場環境に応じて選択されます。
| 集塵方式 | 主な原理 | 捕集効率(目安) | 対応粒径(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 遠心式(サイクロン) | 旋回流による遠心力で粒子を分離 | 85~95%程度 | 100~3μm | 構造がシンプルでメンテナンスが容易。粒子径の大きな粉体回収に強みを持つが、微細粒子除去は不得意。 |
| 電気式 | 静電気力で荷電した粒子を電極に吸着 | 95~99%以上 | 10μm以下の微細粒子も可 | 高効率で微細粒子に強いが、初期コストやメンテナンスコストが高い。 |
| フィルター式(バグフィルター等) | ろ布やフィルターで物理的に捕集 | 99%以上 | 数μm以下も対応可能 | 除去性能が非常に高く法規制対応に有効。ただしフィルター交換や目詰まり対策が必要。 |
| 湿式(洗浄式・スクラバ) | 液滴との衝突や吸収で粒子を捕集 | 90~99%程度 | 数μm以下も対応可能 | 有害ガスや臭気処理にも有効。ただし廃液処理が課題となる。 |
| 重力式・慣性式 | 重力や慣性力で沈降・分離 | 50~70%程度 | 100μm以上 | シンプルで低コスト。粒子径の大きな粉体には有効だが、微細粒子除去には不向き。 |
遠心式集塵機は含塵ガスによる旋回流で集塵するというシンプルな仕組みの装置。稼働箇所もないため、他方式の集塵機と比べてメンテナンスの手間がかからないというメリットがあります。装置を高温に強い素材にすることもできる分、多様な製造現場でニーズを満たしてくれるでしょう。
一方で、遠心式集塵機が対応できる粒子径は100~3μmのため、単体では大気汚染防止法の排出基準をクリアするのが難しいというデメリットがあります。そのためPM対策としては、フィルター式や電気式など二次集塵装置との併用が必要とされます。
粒子径が大きい物質の集塵に強みを持つとされるのもこの点で、逆にいえば粒子径の小さな物質を集塵には弱いともいえます。含塵ガスが大量で、できるだけ粒子径の小さな物質を遠心式集塵機で除去する場合、径の小さなマルチサイクロンを検討したいところです。
遠心式集塵機は粉塵や煤塵除去の前処理として使われるケースが多く、より粒子径の小さな粒子を除去できる他方式の集塵機と組み合わせることで、大気汚染防止法の排出基準をクリアする体制が構築できます。これは、重力式や慣性式とも共通する点といえますが、その三者の中では遠心式集塵機の集塵率85~95%が頭ひとつ抜けた存在です。
粉体を取り扱っている製造現場で導入実績が豊富といえるのも遠心式集塵機の特色。これには、有害物質を除去するという目的だけでなく、粉体回収を目的とした使い方も含まれます。
実際の導入事例としては、製粉業界での小麦粉回収、セメント工場での粉塵除去、樹脂ペレット回収などが挙げられます。また、現場ではサイクロン単体ではなく、フィルター式や電気式集塵機と併用して二段構成で利用されることも多く、効率的な集塵と法規制対応の両立が図られています。
また、下記リンクでは、産業用の集塵機を扱うメーカーを【一覧】でまとめています。導入・検討材料として、ご覧ください。
含塵ガスの旋回流によって生じる遠心力で粉塵や煤塵を分離除去する遠心式集塵機(サイクロン)は、製造現場における集塵作業の前処理で威力を発揮するもの。
最終処理ではないものの、排出ガスによる大気汚染防止に貢献しますし、施設で働く人たちの健康を守るといった安全安心にもプラスの効果が期待できます。粉体回収という役割ではリサイクルというSDGs目標にも寄与するでしょう。
ただし、サイクロン単体では排出基準を満たせないケースが多く、二次集塵装置との組み合わせによって法規制をクリアすることが重要です。
下記リンクでは、集塵機メーカーが行う「SDGs」について紹介しています。工場でも行える、環境問題に配慮した取り組みが気になる方は、チェックしてみましょう。
「SDGs」達成に向けて工場ができることを解説
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集塵機には様々な特性をもった製品があります。実際に集塵機を導入する際には、用途や環境に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、排出する粉塵や設置スペースに適した製造現場に合わせたおすすめの集塵機を3つご紹介します。
レーザーマーカーのヒュームを除去
電子機械製造業へ導入
引用元:チコーエアーテック
https://biz.chiko-airtec.jp/lineup/
連続稼働で塗装面の異物吸着を防ぐ
自動車産業へ導入
引用元:新東工機製作所
https://kshinto.co.jp/product/dust/
反応工程で発生する有害ガスを除去
洗剤・洗浄剤製造業へ導入
引用元:集塵装置株式会社
https://www.ducoll.co.jp/product/factory/