重力式・慣性式・電気式・遠心式・洗浄式。7つの種類別それぞれについて集塵機としての仕組みや特徴、メリットとデメリット、そして製造現場ではどういった使われ方をしているといった点を解説。製造現場で集塵機を導入する際の比較ポイントとしてご覧ください。
集塵機には粉塵やごみを吸引し、クリーンな空気を排出するために何種類ものフィルターが設けられている場合があります。1次フィルター、2次フィルター、排気フィルターとそれぞれに役割があり、吸引力の低下を防いでランニングコストを節約します。また形状も集塵機に合わせて円筒型、プリーツ型、封筒型などがあります。
風量型集塵機は、広範囲の粉塵を効率的に吸引できる集塵装置で、特に研削や溶接などの粉塵が多く発生する現場で活躍しています。その仕組みは、換気扇のように大量の風で粉塵を吸い込み、作業環境を快適に保つことが特徴です。操作も簡単でエネルギー効率が高く、作業の中断を最小限にしつつ生産性を向上させます。ただ、重い粉塵には不向きな場合もあるため、導入する際には、作業環境や粉塵の特性に合った適切な機種の選定が重要です。
「高圧型集塵機」とは、通常の集塵機よりも高い静圧を発生させ、強力な吸引力を実現した集塵機です。風量が小さいため広範囲の粉塵を吸引することは苦手ですが、近くの粉塵を効率的に集塵することができます。機械加工や切削作業で発生する微細な金属粉などの除去として工場で活躍したり、半導体や精密機械を取り扱うクリーンルームでの微粒子除去にも活躍し、コンクリート切断やグラインダー作業によって発生する粉塵対策にも効果的です。
「小型集塵機」とは、製造工場や作業場で生成される微細な粉塵や金属の破片などを効果的に回収する装置です。通常の集塵機に比べてコンパクトであり、持ち運びやすさと設置の柔軟性が特徴です。このため、スペースに制限のある場所や、一時的な作業環境でも活用することができます。
集塵性能の絶対的スペックで見ると他方式と比べて見劣りするものの、仕組みがシンプルで導入時も運用時もコスト抑制効果が見込める重力式集塵機。粒子の重力を利用して、自然沈降によって集塵するという構造の装置であり、一次処理用途で導入することを踏まえて、他種類の集塵機との組み合わせも考慮しておきたいポイントです。
重力式集塵機との比較では集塵率も多少は高く、対応可能な粒子径も小さくはなるものの、集塵機としての構造はやはりシンプル。装置内では含塵ガスの流れる方向を急転換することで分離除去します。粒子径が大きく質量が大きな物質ほど慣性力も大きくなるため、一次処理で大きめの粒子を処理するといった用途にマッチするでしょう。
装置内には集塵極と放電極が設置されていて、直流高電圧をかけてコロナ放電させることにより、粒子をマイナス帯電させて集塵する仕組みを持っています。他種類の集塵機と比べても、より小さな粒子径まで集塵できるのが大きなメリット。製造現場でも集塵の最終処理装置として使われ、大気汚染防止法の基準値クリアに貢献できる装置です。
電気集塵機の一種である湿式電気集塵機は、水を使って集塵極板の粉塵を洗い流すのが特徴です。この水による洗浄は「スプレーフラッシング」と呼びますが、集塵極板を自動洗浄できることから、メンテナンスにかかる手間を軽減でき、安定した集塵性能を発揮することができます。ただし、水を使用することから、同じ電気集塵機の乾式電気集塵機と比較した場合、ランニングコストがかかる傾向がある点がデメリットとして挙げられています。
吸引力の強さをアピールする家庭用掃除機とも基本原理は共通するのが、サイクロンとも呼ばれる遠心式集塵機。装置には、サイクロンがひとつのものも、複数を組み合わせたマルチサイクロンもあり、より小さな粒子を集塵するにはマルチサイクロンの方が適しています。重力式や慣性式に比べれば集塵性能も高いといえるでしょう。
装置内に複数設置された小型サイクロンに粉塵を含む気体を誘導し、高速旋回流を発生させ遠心力で粉塵を分離します。風量が大きい集塵能力の高い装置でも、狭いスペースに設置できます。様々な現場で活用できる集塵機ですが、現在は主に化学製品工場や食品工場、金属加工工場などで活躍しています。大気汚染防止のほか、粉塵濃度低減による労働環境の改善、粉塵の再利用で、SDGs目標にも貢献します。
重力式・慣性式・電気式・遠心式の4種類は乾式集塵機に分類されるのに対して、洗浄式集塵機は水滴や水膜を利用する湿式集塵機に区分されるもの。集塵率などスペックでは電気式集塵機にかなわないものの、溶剤を使った化学反応による分離除去などは洗浄式集塵機ならではの特徴。製造現場では乾式との組み合わせ導入も見られます。
局所集塵機は、必要な場所に設置して集中的に集塵を行うための装置です。その名前からも分かる通り、場所をしぼって設置できるため、他の集塵機と比較して据付コストを削減できます。様々なタイプがありますが、既存の環境に合わせて局所集塵機を設置することで、導入コストを抑えられるでしょう。局所集塵機にはメリットだけでなくデメリットもありますので、ここでは両方を紹介します。これにより、局所集塵機の導入を検討する際の参考になるでしょう。
湿式集塵機とは、水などの液体を用いて空気中のダストを捕集する装置の総称です。特に鉄粉やオイルヒュームなどの細かいダストに対して有効です。対象としているダストの特性によって湿式集塵機、乾式集塵機、どちらのタイプが最適か用途に合わせて選ぶ必要があります。
乾式集塵機は「乾式」の名称が示すように、ゴミや埃、粉塵、原料粉や溶剤、石・土、金属の切粉等など水分のない乾いたものを吸引する集塵機です。あくまでも乾いたもののみを対象にしたものではありますが、乾いたものであれば多くを吸引できる点が特徴。さらに、一度に大量の粉塵を吸引できるものもあれば、多少水分を含んでいても吸引可能なタイプも登場しています。捕集した粉塵の扱いも容易な点など、メリットの多い集塵機です。
乾湿両用集塵機は、乾式と湿式のモードを切り替えて使用する集塵機です。乾式で集塵できる金属・木材の粉塵に加えて、湿式で吸引できる液体も対処できる多用途性に特徴があります。一台で様々な状況に対応できます。ただし、フィルターが詰まりやすくメンテナンスが頻繁に必要になります。金属加工業や木材加工業に加えて、液体こぼれが発生しやすい現場で、より安全な作業への貢献が活用されている集塵機です。
アルミニウムなど爆発性粉体を取り扱う現場においては、爆発を防ぐために適切な設計が行われている集塵機を使用することになります。例えば、粉塵爆発の原因になりにくい構造を採用している、万が一集塵機の内部で粉塵爆発が発生した際にはエネルギーを放散して集塵機の破裂を防止するなど、さまざまな工夫が行われています。
このような集塵機は、作業中に爆発が発生するリスクを下げたり、万が一爆発が発生した場合にできるだけ被害を抑えるような仕組みとなっている点が特徴といえます。
バグフィルタは、セメント・鉄鋼・鉱業・化学・食品・ゴミ焼却施設・産業廃棄物処理等の製造過程において活躍します。バグフィルター集塵機は、工場内・工場外のキレイな空気を守る効果が期待できます。バグフィルタがダストをろ過し、清浄な空気とダストにわけて、清浄な空気だけを工場外に排出します。
バグフィルタは集塵効率が高いので、スタッフの健康に寄与します。これはSDGsの取り組みにもつながり、企業ブランドイメージの向上を目指せるでしょう。
圧縮空気を瞬時にフィルター内部から噴射することでフィルター表面に付着した粉塵や微粒子を払い落とすのが、パルスジェット集塵機です。自動清掃機能のため、装置の長寿命化を可能にすると同時に、手動清掃の手間を削減できます。製鉄・製鋼工場や自動車・輸送機器製造工場など、粉塵や微粒子が発生しやすい環境で活用可能です。効率的にフィルターの目詰まりを防ぐことができる一方、導入コストやエネルギー消費による運用コストが高いという特徴があります。
金属加工工場や機械加工工場の現場では、切削油を多く使用するためオイルミストが発生します。オイルミストは空気中を浮遊するので、工場内の壁や床、機械・設備、製品を汚損し、従業員の健康被害のリスクもあります。 これらの現場ではオイルミストコレクターを導入し、さまざまなリスクを低減することが重要です。設備投資とメンテナンスが必要ですが、クリーンな環境と従業員の健康のためにも効果を発揮する装置です
用途に合った「集塵機」を導入するためには、基礎知識も知っておく必要があります。下記リンクでは、メンテナンスや入れ替え時に必要な情報などもまとめていますので、ご参考ください。
集塵機には様々な特性をもった製品があります。実際に集塵機を導入する際には、用途や環境に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、排出する粉塵や設置スペースに適した製造現場に合わせたおすすめの集塵機を3つご紹介します。
レーザーマーカーのヒュームを除去
電子機械製造業へ導入
引用元:チコーエアーテック
https://biz.chiko-airtec.jp/lineup/
連続稼働で塗装面の異物吸着を防ぐ
自動車産業へ導入
引用元:新東工機製作所
https://kshinto.co.jp/product/dust/
反応工程で発生する有害ガスを除去
洗剤・洗浄剤製造業へ導入
引用元:集塵装置株式会社
https://www.ducoll.co.jp/product/factory/