レーザー加工機を使用する際には、「ヒューム」と呼ばれる粉塵や煙が発生します。ヒュームの対策をしない場合、粉塵が行き場をなくしてミラーやレンズに汚れが付着して、レーザー加工機の故障の原因になります。レーザー光を阻害することもあります。
レーザー加工時に発生するヒュームは、独特な臭気も含まれるため、処理をしないと作業環境が悪化します。集塵機を使用して粉塵や煙を解消すれば、作業環境の改善にもつながるのです。
ヒュームは、金属や樹脂等の蒸気が凝集して微細な粒子になったものです。粘着性の低いものから粘着性の高いものまであります。こうした性質のヒュームを放置すれば、レンズに付着して、焦点ずれや印字の位置ずれなどの品質の低下につながるだけではなく、加工作業時の安全性も著しく低下します。集塵機を使用することで安全性が向上します。
集塵機を使用しない場合は、上記で説明した通り、ヒュームが行き場をなくしてミラーやレンズに付着します。レーザー加工機がすぐにダメになることはもちろん、作業品質や安全性の低下を招きます。
レーザー加工機のミラーは、レーザー光を反射させる役割の部品です。また、レンズはレーザー光を集める役目の部品です。どちらも重要な部分ですが、交換すると高価。ヒュームが付着して故障した場合は、これらの交換が必要になってしまうため、コストの負担も大きくなります。集塵機を使用しない場合、レーザー加工機は1~2年しか持たないのが一般的です。
また、レーザー加工で発生したガスやヤニなどを外に出すためには、加工場の外にホースを伸ばして排出することもできます。しかし、これらのガスやヤニは、嫌な臭いがするものが多いです。脱臭機能がある集塵機を使用せずにそのまま排出すると、近隣住民や飲食店経営者などから苦情が入る可能性があります。
レーザー加工で発生するヒュームの臭気は、通常の集塵フィルターでは取り除くことができません。作業環境の向上や近隣住民への配慮のために臭気を取り除きたい場合は、脱臭機能の有無が重要です。
遮断、拡散、衝突など複数のフィルタリング現象を通じて、気流から非常に細かい粒子を除去します。そのためフィルター性能は集塵機の効果を決める一つの要素です。表面捕集、ファインファイバーメディア、下降気流パターンがフィルター性能の向上に役立ちます。フィルター性能とあわせて確認したいのは、吸引力です。吸引力が弱ければヒュームが残り、ミラーやレンズに付着してしまいます。
集塵機のサイズは、ヒュームや粒子の捕集に必要な風量によって決まります。カッティングテーブルが広いほど、粉塵捕集に必要な風量が多くなり、その結果、集塵機のサイズも大きくなるのが一般的。テーブルサイズ、ワークピースが占有するテーブルの割合、切断プロセス中のテーブルのオープンゾーンの数などもサイズに影響します。必要な機能に合ったサイズであることが重要であると同時に、設置場所を考慮することも重要です。
レーザー加工機用集塵機には、様々な製品があります。例として、Googleで「集塵機 レーザー加工機」と検索して公式HPがヒットした上位5製品の特徴やスペックを紹介します。レーザー加工機用集塵機選びの参考にしてください。(2024年7月17日時点)

シンプルデザインで扱いやすいレーザー加工機用の集塵機です。FLUX 以外のレーザーカッターも利用可能。綿プレフィルター、中性能 H13 HEPA、活性炭の4層のフィルターでレーザー加工機から出た粉塵やカスを低減します。吸引は強弱のダイアルを回して調整。音を下げたいときに、簡単に調整できます。また、加工がはじまると自動で作動、加工が終われば自動で終了するので、無駄のない動作が可能です。
| 本体サイズ | 縦470 x 横260 x 高490 mm |
|---|---|
| 重量 | 17kg |
| ファン最大値 | 350CFM, 9800L/分 |
| 接続部直径 | 100mm |
| フィルター | プレフィルター、中性能フィルター H13 HEPAフィルター、活性炭フィルター |
| フィルター交換目安 |
綿フィルター 10-30時間 中性能フィルター 50-150時間 H13 HEPAフィルター 100-300時間 活性炭フィルター 300-600時間 |
| 電源 | 110V / 220V, 180W |

室内でレーザー加工機を運用するための集塵機です。プレフィルター、2次フィルター、ファインフィルター、活性炭フィルター、HE-PAフィルターという5層の高性能フィルターを搭載しています。99%以上の集塵効率と高い耐久性が特徴。彫刻加工でも切断加工でも加工方式を選ばず柔軟に対応し、燃焼臭が気になりません。
| 電源 | 無し(排気ファンの風圧にて動作) |
|---|---|
| 動作環境 |
動作時温度 13℃ ~ 35℃ 保管時温度 5℃ ~ 45℃ 相対湿度 5% ~ 80% ※結露しないこと 最高動作高度 2000m |
| 外形寸法 | 横 330mm x 縦 560mm x 奥 330mm |
| 重量 | 14.8kg |

一般的な集塵機では対処できないレーザー加工時に発生する付着性ヒュームと臭気を同時に除去できます。樹脂加工時に発生する付着性ヒュームはフィルター表面に積層されたろ過助剤「ゼオパワー\ZEOPOWER」で吸着し、フィルターのダメージを緩和しています。長期間の安定集塵を実現しました。活性炭を内蔵。樹脂加工時の嫌な臭気を脱臭します。
| 型式 | PiF-30H |
|---|---|
| 電源 | 3相200V 50/60Hz 共用 |
| 出力(kW) | 1.35 |
| 風量(m3/min) | 0: 10, 13 |
| 静圧(kPa) | 2.65: 1.5, 1.0 |
| フィルター 面積(m2) | 9.6 |
| フィルター 個数(個) | 2 |
| フィルター 形状/材質 | 成形カートリッジ/ポリエステルスパンボンド(非難燃性) |
| 払落し | パルスジェット方式 |
| 圧縮空気消費量(L/h) | 払落し:25(作動時間10s/h) 30ms/5s/1サイクル(2発) 舞い上げ:177(作動時間40s/h) 0.5s/5s/8サイクル(8発) |
| 圧縮空気圧力(MPa) | 0.5±0.1 |
| 騒音(dB(A)) | 70±2以下 |
| バケット容量(L) | 22.5 |
| 環境周囲温度(℃) | 0~40 |
| 環境周囲湿度(%Rh) | 10~90(結露なきこと) |
| 吸引空気温度(℃) | 0~40 |
| プレコート剤(kg) | ゼオライト 6.0 |
| 脱臭剤(kg) | 活性炭フィルター 11.5 |
| 大きさ(W×D×H) | 520×950×1657 |
| 質量(kg) | 230 |
| 塗装色 | 日塗工F35-85A |

粘着性の高いヒュームや大量の粉塵が発生して、通常の集塵機ではフィルタ目詰まりが起きやすい使用環境でも長時間吸引力が低下せずに使用できる集塵機です。集塵容量や塵落とし機能が強化されているため、粉塵が大量に発生するレーザーマーキング工程やレーザー剥離工程に適しています。脱臭用活性炭BOXを標準装備しています。
| 出力 | 1200W |
|---|---|
| 電圧 | 200V単相(50/60Hz) |
| 定格電流 | 11.0A |
| 最大風量 | 5.5㎥/min |
| 最大静圧 | 13.5kPa |
| 騒音値 | 54 - 65dB |
| 吸込口サイズ | φ100 |
| オプション対応 | - |
| 質量 | 130.0kg |
| 本体寸法(D×W×H) | 614mm × 617mm × 1352mm |
| 電源コード | 3m |

安心して使える産業用工作機器を低価格で提供するSMART DIYsの集塵機。重さ15kgと比較的計量かつキャスター付きなので女性一人でも簡単に移動させることができるでしょう。コンパクトでありながら、集塵性能は他製品と遜色なく、室内で加工を行う方におすすめ。
| 対応機種 | FABOOL Laser Mini / Etcher Laser / Etcher Laser Pro / LM110F / SC300 |
|---|---|
| サイズ | 445×245×475mm |
| 重さ | 15kg |
| 風量 | 250㎥/h |
| 集塵性能 | 0.5μm99.99% |
| 運転音 | < 80dB |
| 付属品 | アルミダクト、ダクト固定具 |
| アルミダクト長さ | 800mm~2000mm |
レーザー加工機とレーザーマーカーは、いずれもレーザーを利用する機器ですが、その用途や機能には明確な違いがあります。
レーザー加工機は、主に材料の切断、彫刻、穴あけ、溶接などの加工を行うための装置です。一般的に、高出力のレーザーを使用しているため厚い材料や硬い材料でも精密に加工することができます。
対応する材料は金属、木材、プラスチック、アクリル、紙、布など多岐にわたります。そのため、製造業、工芸品制作、広告看板の制作、電子機器の製造など、幅広い分野で利用されています。
レーザー加工機は、加工の精度が非常に高く、特定の形状やデザインを正確に作り出すことができますが、材料の種類や厚さによっては加工に時間がかかる場合もあります。
レーザーマーカーは、主に材料の表面にマーキング(刻印)を行うための装置です。文字、ロゴ、バーコード、シリアルナンバーなどを彫刻する際に使用されます。レーザーマーカーは比較的低出力のレーザーを使用しており、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、紙などの材料に対応しますが、加工は表面に限定され、厚い材料には適していません。
製品のトレーサビリティ確保、ブランドロゴのマーキング、工業部品の識別、装飾品のマーキングなど、特に識別や情報付加が求められる分野で広く使用されています。レーザーマーカーはマーキングの精度が非常に高く、細かい文字やデザインを正確に彫刻することができ、加工速度も比較的速いです。
集塵機には様々な特性をもった製品があります。実際に集塵機を導入する際には、用途や環境に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、排出する粉塵や設置スペースに適した製造現場に合わせたおすすめの集塵機を3つご紹介します。
レーザーマーカーのヒュームを除去
電子機械製造業へ導入
引用元:チコーエアーテック
https://biz.chiko-airtec.jp/lineup/
連続稼働で塗装面の異物吸着を防ぐ
自動車産業へ導入
引用元:新東工機製作所
https://kshinto.co.jp/product/dust/
反応工程で発生する有害ガスを除去
洗剤・洗浄剤製造業へ導入
引用元:集塵装置株式会社
https://www.ducoll.co.jp/product/factory/