製造ラインで浮遊粉塵による歩留まり低下に悩む現場は少なくありません。集塵機を導入したにもかかわらず、カタログどおりの風量が出ないケースも見受けられます。原因の多くは、集塵機の風量バランスを左右する「圧力損失」への理解不足です。
圧力損失の基礎知識とタイプごとの特性を押さえれば、既存の工場環境を大きく変えずに風量を確保する道筋が見えてきます。
集塵機のカタログに記載された風量は、本体だけで稼働させた場合の数値です。実際の現場では配管やフードを接続することで生まれる空気の通り道の抵抗(圧力損失)を考慮しなければなりません。
圧力損失を大きくする主な要因は4つあります。配管の分岐数、管径の細さ、ホースの長さ、エルボー(曲がり部分)の回数です。分岐が増えるほど1箇所あたりの風量は分散され、管径が細いほど管内の流速が速まり空気抵抗は急激に増大します。
「風量を基準に選んだのに、想定した能力が出ない」──こうした現場の声は珍しくありません。配管条件を考慮せずカタログ値だけで選定すると、風量バランスが崩れて粉塵を十分に捕集できなくなります。
集塵機は大きく「高圧型」と「風量型」の2種類に分かれ、それぞれ得意な集塵対象が違う点に注意が必要です。
高圧型は配管抵抗に打ち勝ち、空気を引っ張る力が大きく、製品表面に付着した異物をピンポイントで吸引する場面に向いています。一方、空中を漂う浮遊粉塵を広範囲に捕集するのは不得意な領域です。
風量型は一度に多くの空気を吸い込む力に優れ、空中に飛散した粉塵の広域捕集を得意とします。浮遊物混入による歩留まり対策を重視するなら、風量型の特性は必ず確認してください。
タイプの選定を誤ると、高性能な機種であっても風量バランスが取れず、集塵効果の低下を招きかねません。
静圧は物を吸い上げる力、風量は空気を吸い込む量を指します。この2つはトレードオフの関係にあり、静圧が高まると風量は減少し、風量が増えると静圧は下がる特性があります。
集塵機メーカーが提示する性能曲線表は、静圧と風量の関係をグラフで示した資料です。使用条件によって実際の能力は変動するため、カタログの最大値だけで判断しないことが大切です。自社の配管環境でどの程度の風量が見込めるか、使用点を意識して確認してください。
大型設備の新規導入はコスト負担が大きく、既存のレイアウトを維持したいという要望は多く聞かれます。こうした条件でも風量を改善できる方法は主に2つです。
省スペースでありながら高い静圧を発揮する機種なら、細い配管や分岐の多い環境でも風量を維持しやすくなります。設置場所に制約がある現場でも導入しやすい点が強みです。
不要なエルボーを取り除いて直線部分を増やす、使っていない分岐をふさぐといった対応だけでも圧力損失は低減できます。大規模な工事を伴わず、稼働を止めずに進められるケースもあります。
集塵機を選定する前に、以下の項目を整理しておくと選定ミスの防止につながります。
フィルターの目詰まりが進むと風量は徐々に低下します。メンテナンス性やフィルター交換の容易さも、長期的に風量バランスを維持するうえで見逃せない選定基準です。
これらの使用条件をメーカーに正確に伝えたうえで提案を受けることが、自社に合った機種を選ぶ鍵となります。
集塵機の風量バランスを整えるには、圧力損失の仕組みを理解し、課題に合ったタイプを正しく選ぶことが欠かせません。高圧型と風量型の得意領域を把握したうえで、自社の粉塵課題と照合すれば、導入すべき機種の方向性が明確になります。
既存の工場環境を大きく変えなくても、コンパクトな高静圧機種の導入や配管の見直しで風量は改善できます。まずは自社の配管条件と粉塵の種類を整理し、専門メーカーへ相談するところから始めてみてください。
集塵機には様々な特性をもった製品があります。実際に集塵機を導入する際には、用途や環境に応じて適切なものを選ぶことが重要です。ここでは、排出する粉塵や設置スペースに適した製造現場に合わせたおすすめの集塵機を3つご紹介します。
レーザーマーカーのヒュームを除去
電子機械製造業へ導入
引用元:チコーエアーテック
https://biz.chiko-airtec.jp/lineup/
連続稼働で塗装面の異物吸着を防ぐ
自動車産業へ導入
引用元:新東工機製作所
https://kshinto.co.jp/product/dust/
反応工程で発生する有害ガスを除去
洗剤・洗浄剤製造業へ導入
引用元:集塵装置株式会社
https://www.ducoll.co.jp/product/factory/